時短ワーママ「評価されない」「給与が減った」悩み解消法は?

育児との両立のために時短勤務にしたことで「評価されない」「給与が減った」と悩むワーキングママ(以下、ワーママ)は少なくありません。ワーママが適切に評価されるための制度がそもそも整っていない、または制度はあっても形骸化しているなどの会社がいまだ多くあるからといえます。一方で、ここ数年で働き方は多様化し、時短にこだわらずにワーママが活躍しやすい環境は増えてきています。 ここではワーママ自身が満足できる評価とはどのような制度か、また評価されるためにどのような対策を取るべきかなどを キャリアアドバイザー 鈴木伸太朗がご紹介します。
- 評価に不満があるワーママは44%
- 評価フロー・制度そのものを課題に感じる人が多い
- 評価基準は企業によってさまざま
- ワーママが気になるのは勤務時間と連動した評価
- 勤務時間またはアウトプットで報酬が決まる制度、どちらが合うかは人それぞれ
- 「時短のメリットは「仕事と家事・育児との線引きがしやすい」など
- 時短のデメリットは「報酬減と責任ある仕事が任されにくくなる傾向も」
- 成果報酬のメリットは「時短でも報酬が変わらず、働き方も比較的自由」
- 成果報酬のデメリットは「休日対応などでプライベートとの線引きがあいまい」
「評価される制度」探しではなく、柔軟な働き方が可能な職場で活躍を
- ワーママにとって評価や報酬は実に重大で難しいテーマ
- 同僚や上司から「どう思われているか」はコミュニケーションで解決を
- 不満が報酬・昇格などの処遇面(制度)に起因している場合は転職を
ワーママ半数近くが会社の評価に不満
当社の調査「ワーキングママアンケート~評価~」で、会社の評価制度の満足度を聞いたところ、不満があるのが半数近くの44%という結果でした。
「不満」と回答した人は「フルタイムの時と同じぐらいの業務量をこなしているのに時短を理由に評価が低い」など、育児との両立が要因になっているだけでなく、評価フロー・制度そのものを課題に感じる人が多くいることが分かりました。
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人事評価制度は各社さまざま
人事評価制度とは従業員の能力や行動を評価するもの。等級や報酬と連動し、評価が良ければ等級・役職・報酬も上がるのが一般的です。ひと昔前までは「終身雇用」が前提で、年齢や勤続年数に応じて報酬や役職を上げる年功序列制度が浸透していましたが、環境の変化とともに「成果主義」「能力主義」の人事評価制度を取り入れる企業が増えてきました。このように時代によって変わってきた評価のあり方。現在は目標によって管理する「目標管理制度(MBO※)」を取り入れている企業が多いと思いますが、評価基準などは企業によって実にさまざま。1,000社あれば1,000通りの評価スタイルがあるといえます。
さまざまな評価基準がある中でワーママが特に気になるのは、勤務時間と連動した評価ではないでしょうか。つまり、時間で報酬が決まるのか、それともアウトプット(業務内容)で報酬が決まるか、です。時短になったから評価されない、報酬が上がらないといった不満を抱くワーママは少なくありませんが、勤務時間が短いことでその分報酬が減る制度と、勤務時間とは関係なく、あくまでアウトプットの質や量で報酬が決まる制度、どちらのほうがワーママが活躍しやすいか?実はそれぞれメリットとデメリットがあり、「これが正解!」という選択はありません。各制度の特徴を理解し、自分のスタイルにあっているかを見極めることが大切です。
(※MBO:Management by Objectives)
時短で報酬が減るメリット、減らないメリット
当社の調査「ワーキングママアンケート~年収編~」によると、平均年収が産休前後で約100万円ダウンしているというデータもあり、残業なしの時短勤務などによって報酬に大きな変化があるのは否定できません。しかし、時短(勤務時間)が報酬に影響があるのはワーママにとって決して悪い面ばかりではありません。ここでは、勤務時間が報酬に影響する場合としない場合のメリット・デメリットをご紹介します。
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<時短(勤務時間)が報酬に影響する制度の場合>
時短(勤務時間)が報酬に影響がある制度、いわゆる「時間管理型」の場合、勤務時間を短くした分だけ報酬が減額されます。それにあわせて、課せられる目標や業務量なども少なく設定されることが一般的といえます。
大企業を中心に多くの企業に導入されている仕組みとなるため、「時短にして報酬が減った」と感じるワーママが大多数になっています。
メリット | デメリット |
---|---|
・時短に応じて、業務量が調整される。 ・時間外などで代理対応してくれる人がいることが多く、本人の時間外の対応が原則不要。仕事と家事・育児との線引きがしやすい。 ・子どもの病気の際なども比較的休みやすい。 |
・報酬が下がる(職務手当や見込み残業手当がなくなるうえ、基本給が時短に応じて2〜3割減額となるため)。 ・責任のある業務を任せてもらいづらくなるケースが多い。 |
<時短(勤務時間)が報酬に影響しない制度の場合>
時勤務時間に関係なく報酬が決まる制度、いわゆる裁量労働型。専門職や管理職などに適用されるケースが多くあります。特に管理職だと時短で働いていても基本給が変わらないうえに管理職手当もつくため、年収を維持できることが多いようです。働く時間が短くても報酬が変わらないのは一見良いことのように思えますが、短い時間の中でも結果を出さなければならないという責任や負担を伴うのが特徴です。
メリット | デメリット |
---|---|
・時短でも報酬が変わらない(アウトプットが評価対象のため)。 ・フレックスや業務中の中抜けなど時間の使い方は個人に委ねられるなど、時間含めて働き方が比較的自由。 |
・アウトプットにコミットする必要があるため、夜間や休日なども必要があれば対応するケースがある。 ・プライベートとの線引きがあいまいになることも。体調管理などセルフマネジメントが必須。 ・自分事として仕事に取り組めていないと精神的につらくなることも。 |
「評価される制度」探しではなく、柔軟な働き方が可能な職場で活躍を
ワーママの「評価されない」という感情には、「業務量が変わらないのに時短になったことで報酬が下がった」「時短だから昇格できない」「ワーママというだけで責任のある仕事は任せられない人材と思われている」といったさまざまな悩みや不満が込められています。前述の調査結果からも、ワーママの半数が評価に不満を抱いているというだけでなく、評価に満足していると回答したワーママも「こんなものだと思う…」といった妥協的な感情が多く、ワーママにとって評価や報酬は実に重大で難しいテーマだといえます。
さまざまな悩みや不満に分かれる「評価されない」という問題ですが、大きく2つに分かれており、それぞれ対処法が異なります。
まず、報酬・昇格などの処遇面ではなく、「周囲の同僚や上司からどう思われているか」についての問題。制約がある中で働くワーママは周りと違う働き方をしているという点で引け目を感じてしまい、「使えない人材と思われている」とネガティブになりがちです。しかしこれはワーママ本人のただの思い込みという場合もあります。対策としては周囲や上司とのすり合わせが必須となります。周囲の期待に応えられているか、そもそもどんなことを期待されているか、コミュニケーションを重ねれば、必ず解消されていくでしょう。
一方、報酬・昇格などの処遇面、つまり制度に起因している場合は転職などで環境を変えることをおすすめします。制度や仕組みそのものが未整備というのはもちろん、制度はあるが形骸化している、ワーママとはこういうものという会社側の意識や風土に問題があるといったことも含めて、ワーママ個人のコミュニケーションや努力ではなかなか変えることが難しいのがこちらの問題です。今の職場で環境や仕組みを変えるようチャレンジすることもムダではありませんが、気力も体力も時間も消耗してしまいます。
それよりは新しい活躍の場を見つけることのほうが効率的で有効な場合も。というのも、今は働き方の多様化が進み、スタートアップやベンチャー、中小規模の会社を中心にリモート・在宅やフレックスなどの働き方がだいぶ浸透しています。このような会社ではそもそも時短という概念がなく、ワーママに限らず各社員がもっともパフォーマンスの発揮できるワークスタイルをそれぞれが柔軟に取り入れています。働き方が柔軟に選択できれば、時短にこだわる必要はありません。フルタイムで自分らしく活躍できれば、報酬が減るといった悩みもなくなるでしょう。
育児と仕事の両立を必死にこなしているワーママだからこそ、「評価されない、でも仕方ない」とあきらめるのではなく、自分らしく活躍し、適切な評価が得られるよう今こそ1歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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