育休明け(時短)の目標設定、後悔しない3つのポイント

長い育児休業(以下、育休)を経て復職が間近に迫る時期、「両立の自信がない」「職場のみんなはどう思っている?」など、緊張や不安が絶えないもの。そんな中、復職後に待ち受けているのが、目標設定です。育休明け、時短勤務(以下、時短)になって初めての目標設定の場合、業務のアサイン含めてフルタイムのころとの違いがよく分からないままおざなりな目標にし、のちのち後悔するワーキングママ(以下、ワーママ)も少なくないかと思います。そこで、育休明けのワーママが目標設定において大切にしてほしいポイントなどをママリブラのキャリアアドバイザー鈴木伸太朗がご紹介します。
- 育休期間は6~12カ月が40%。うち資格取得や語学など活動した人が約8割
- 半年から1年の長期間の休職で不安な思いを活動の糧に
- 復職面談をした人は65%。復職後に仕事内容が変わったワーママが半数近くに
- 「連絡が来る前に自分で連絡」先手先手で能動的な行動を
- 目標設定は評価(処遇・昇給昇格)に直結
- 全方位セーブの思考になりがち。あえて仕事中心に量より質を意識
- 納得できるまで何度でも上司とコミュニケーションを
目標設定および中長期的キャリアには「will・can・must」の明確化がマスト
- 育休明け最初の目標設定は中長期的なキャリアにおいてもかなり大切な機会
- 目標設定や中長期的なキャリアで必要不可欠なのが、「will・can・must」明確化
- ママボランのキャリア研修で「will・can・must」明確化をサポートします
育休中、仕事やキャリアに対する尽きない不安
当社の調査「ワーキングママアンケート~評価~」で、育休を取得した期間について聞いたところ、6~12カ月が40%で半数に迫る割合でした。また「復職準備(育児との両立)やスキルアップのため」という理由などから、育休中に資格取得や語学など何らか活動している人が約8割にのぼることも分かりました。
半年から1年ほどにおよぶ長期間の休職で仕事やキャリアに対する不安を抱く女性は多いと思いますが、その思いを復職準備やキャリアアップのための活動の糧とする方も少なくないようです。
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復職面談、復職までに準備しておくべきこと
もといた部署の上司や人事と実施する復職面談ですが、当社の調査「ワーキングママアンケート~マミートラック編~」では、復職面談をしたワーママは65%にとどまるという結果が出ています。また、厚生労働省の指針には「もとの部署に復帰が原則」とありますが、復職後に仕事内容が変わったワーママが半数近くいることも分かりました。
半年から1年という長期間にわたって会社から離れることで、もといた部門が組織の見直しでなくなっていたり、上司が変わっていたりすることもあるため、もとの部門で産休前と同じ仕事をするということは当たり前ではありません。復職面談さえ設定されない企業もあるほどです。
大事なことは復職面談や復職に向けて、能動的に動くこと。「連絡がきてから考える」「言われたことをやる」では、自分の意向とは違った方向に進んでしまうこともあり、中長期的に「なんのために働いているんだろう」と働くことの意味を見出せず、マミートラックに陥るきっかけにもなってしまいます。
上記の調査では、「面談以前に職場に足を運んだ時に小刻みに自分の希望を伝えていたため、おおよそ希望を通してもらえた」と回答するワーママがいました。「連絡が来る前に自分で連絡」「言われる前に自分の希望を伝える」など、先手先手で自分から行動を起こすことが大切だといえるでしょう。
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育休明け(時短)目標設定の3大ポイント
育休明けの目標設定。時短を選択するワーママも多く、出産前とは違う働き方の中で、どのような目標にすべきか迷う方も多いのではないでしょうか?
特に第1子の出産を経ての復職では、育児との両立や時短など何もかもがすべて初めてで手探り。このようによく分からないからといって、“できる範囲で”“なんとなく言われるままに”と目標設定をおざなりに考えてしまうこともあるかもしれません。しかし、会社員として働く以上、目標設定は決して軽視してはいけない重要事項です。ここでは、育休明け(時短)の目標設定で大切な3つのポイントをご紹介します。
1.目標設定は評価(処遇・昇給昇格)に直結
まず、目標設定はなんのためにあるかをあらためて考えましょう。MBO(Management by Objectives)という目標によって管理する人事制度は、多くの企業(9割以上の企業)で導入されていますが、当然ながら目標と評価がセットになっています。
ただ目標を立てて日々の行動の目安とするだけでなく、一定期間の後にその目標に対して行動・実績がどうだったか、自分で振り返るとともに、上司・会社による評価基準となります。処遇や昇給昇格、もちろん賞与にも影響します。評価されるタイミングで、「ゴール設定ができていなかった」「成果が分かりづらい目標を立ててしまった」と後悔しても手遅れ。「自分の等級に対してレベルが低い目標を立ててしまい、がんばったのに評価されなかった」というケースもよくあります。どう評価されるか十分考えて目標設定するようにしましょう。
2.育休明け(時短)は全方位セーブの思考になりがち。あえて仕事中心に量より質を意識
育休明けで、しかも時短を選択するワーママは、育児との両立不安からすべてにおいて「自信がない…」といった“セーブの思考”になりがちです。極端な例でいえば、専門職種で責任のある仕事をしていたのに、出産後はアシスタント業務になるなどです。こういった選択がすべてNGであるというわけではありませんが、自分本意ではない“行き過ぎたセーブ”になっていないかよく考えてみましょう。仮に時短という働き方を選んだとしても、それは責任や仕事のクオリティまで下げてしまうことを意味するわけではありません。時短になっても、必要なのは業務量や時期のコントロール。時短などの働き方と仕事においてやりたいこと、やるべきことはきっちり分けて目標を定めてほしいと思います。
3.納得できるまで何度でも上司とコミュニケーションを
1の「評価に直結」のポイントとも関連しますが、そうはいっても時短になって初めての目標設定はどうすべきか分からないという方も多いと思います。上司に言われるがまま、なんとなく決めたというワーママも多いのではないでしょうか?
実は、育休明けのメンバーを受け入れる上司も戸惑いがないわけではありません。これまでワーママをマネジメントしたことがないという上司もいますし、育児の経験がない、仕事と育児の両立が具体的にイメージできないという上司もいます。つまり復職するほうも、復職メンバーを受け入れるほうも手探りというケースが現状の日本では少なくないのです。
「上司が言うなら」とそのまま受け入れてしまうと、自分の希望や不安をくみ取った目標にはなりません。自分自身も分からないことは多いと思いますが、短期的・長期的にどんな仕事をなし遂げたいか、上司と納得いくまで意見を交わすのをあきらめないことが重要です。
▶「時短ワーママ「評価されない」「給与が減った」悩み解消法は?」を見る
目標設定および中長期的キャリアには「will・can・must」の明確化がマスト
育休明け最初の目標設定は、そこから四半期・半期などの目標でありながらも、上司や周囲から「この人は復職後、仕事やキャリアにどう向き合うのか?」を印象づける材料になり得るため、中長期的なキャリアにおいてもかなり大切な機会です。育児と仕事の両立が不安だからといって、仕事内容をセーブしてしまうと、「この人は働く意欲が低くなってしまったんだ」と判断されてしまい、マミートラックにはまってしまうママも少なくありません。 「ワーキングママアンケート~マミートラック編~」では、約半分のワーママが「チャレンジできる環境がない」と回答。また、「ワーママ100人アンケート〜転職編〜」では「今すぐ転職したい」と回答したワーママのうち78%が「チャレンジできる環境がない」と答えていました。つまり「チャレンジできない環境」というのは転職に直結する致命的な問題であるといえるのです。
育休明けのワーママは、子どもの成長に伴う対応に追われる日々で、仕事と育児をなんとか「両立」させることだけを考え、どうしても短期的視点になりがちです。しかし、そんなワーママだからこそ目標設定を含めて中長期的なキャリアの視点も大事にしてほしいと思います。育児と両立しながら必死に働いているのに、会社から適切に評価されず、ましてマミートラックに陥ってしまうというのはあまりにも残念なことだと思います。 目標設定や中長期的なキャリアで必要不可欠なのが、ご自身の「will・can・must」を明確にすること。子どもが小さく手がかかるうちは「must=会社から求められること、やるべきこと」でいっぱいいっぱいになり、自分自身の「wil=やりたいこと、ありたい姿l・can=強み、得意なこと」を過小にとらえがちですが、「will・can」こそ中長期的なキャリアになくてはならない要素です。
自分ひとりで「will・can・must」を認知したうえで言語化することは簡単ではありませんが、当社が提供するママボランのキャリア研修では「will・can・must」の明確化をサポートいたします。足元の目標設定、また中長期的なキャリアプランに役立てていただけますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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