ワーママ転職 2023年市場予報

ワーキングママ(以下、ワーママ)の2023年転職動向について株式会社mog(ママ、お仕事がんばって!)のキャリアアドバイザー鈴木伸太朗が解説します。3年以上続いたコロナ禍も終焉を迎えようとしている2023年。企業の採用熱も上昇する中で、ワーママにとっても転職しやすいタイミングになってきているといえます。そんな中で、ワーママが注目すべき職種について最新の求人動向をもとに紹介します。
2023年春、ワーママが注目すべき8職種の転職動向は?
女性が多く活躍している、かつ比較的柔軟な働き方も実現しやすいワーママ必見の8職種(企画、営業、マーケティング、広報・PRなど)について、2023年の転職市場動向をキャリアアドバイザーが解説します。
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企画 |
BPR・BPMポジションのニーズがより加速 |
経営企画、営業企画、事業企画、業務企画、商品開発など、幅広い役割に分かれる企画職。在宅勤務といったリモートワークなどとも相性がよく、企画職で活躍しているワーママはコロナ前から多くいるのが特徴です。
そんな企画職の中でも業務改善にかかわるポジションはコロナ禍でも採用ニーズが絶えることなく、昨年からニーズは堅調に増えています。2023年、さらに中途採用が活発になっているのが、BPR(Business Process Re-engineering=業務改革)やBPM(Business Process Management=業務管理)。
特に最近の特徴は、バックオフィスやミドルオフィスづきのBPRやBPMの組織ではなく、営業などのフロントづきの組織として業務改善・業務改革をするという点です。そのため、企画のみの経験や知識だけでなく、営業視点、さらには営業現場を理解することや、現場を巻き込んでいく力などが求められてきています。営業の後に企画を経験した人や営業として活躍しながら業務改善に取り組んでいた人など、「企画×営業」というスキルや経験が、企画職の中でもより評価される傾向が高まってきているといえるでしょう。
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営業 |
昨年までの“超売り手市場”から通常モードへ |
企業の中でなくてはならない役割として安定的にニーズのある営業職。昨今の営業の役割細分化の中で、SaaSなどのクラウドサービスを扱う業界を中心に、昨年まで採用熱が非常に高まっていたのがインサイドセールスです。
インサイドセールスとは既存のリード(顧客情報)を精査して、メールや電話でアプローチする部隊。顧客からの問い合わせを受けるフィールドセールスやカスタマーサクセスと比較すると、自分で時間のコントロールがしやすく、家事や育児と仕事を両立するワーママにとっても働きやすい営業職として、ママリブラでも求人が特徴的に増えていました。
昨年までは営業未経験者でも転職を実現しているケースもあるほどの状況でしたが、このインサイドセールスの採用がピークを超え、落ち着いてきているのが2023年の特徴といえます。昨年までに採用した人材の育成に注力して地盤を固める1年にしたいという企業が増えているのが背景にあるからです。とはいえ、昨年までの採用熱が「高過ぎた」ともいえるので、「曇り」というより、「晴天」から普通の「晴れ」つまり正常になったととらえていただければと思います。
また営業職で転職を希望する人にとって、2023年、特に注目いただきたいのが人材業界。企業の採用意欲の高まりに伴い、人材業界の営業職の求人が増えてきています。積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。
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マーケティング |
マーケ戦略を上流工程から設計できるマーケター需要が高まる |
個人・法人への認知を上げて購買につなげる重要な機能として、マーケティング(以下、マーケ)も営業同様、常に採用ニーズの高い職種です。また女性が多く活躍している職種でママリブラの登録者もマーケが26%ともっとも高い割合を占めています。
マーケとひと言でいっても、広告・コンテンツ(SEO)・イベント・CRM・サイト・データ解析など幅広い役割に分かれています。最近はSaaSなどの新しいビジネスモデルを中心に、契約の継続やアップセルを目的にカスタマーサクセスと連携した役割を担うことも。ウェビナーなどで集客してコンテンツ&コミュニティで顧客と関係性を築き、利用促進につなげるまでがマーケのミッションととらえられることも増えています。
2023年のトレンドとしては、顧客の認知から利用まで、いわゆるカスタマージャーニーを描けるマーケターのニーズが増加していること。少し前まではWebマーケを中心に、各領域の専門家で実際に手を動かせる人材を求める企業もありましたが、最近は実際にマーケの各領域で手を動かすのは外注する企業も増え、自社で採用したいマーケ人材となると、商品のブランディングからどう展開していくか、マーケティング戦略を上流工程から設計できる人材が求められています。
ママリブラの転職事例でも、Webマーケは未経験でもブランディングからカスタマージャーニーまでを描けるプロダクトマーケ経験者が転職をかなえる事例が出ています。
これからマーケターとしてキャリアを積んでいきたいという方は、ビジネス全体を俯瞰して、商品やサービスをどう顧客に利用してもらうか、より利用してもらうにはどうすればよいかまでを広く考える視点を持って、業務の幅を広げていくことをおすすめします。
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広報・PR |
売り込むアクションやゼロからの立ち上げ経験がポイント |
女性の人気がとても高い広報・PR。実際に女性が多く活躍する職種でもあり、ワーママとして活躍し続けている方も少なくありません。転職の際に希望される方も多いですが、大企業での広報ポジションは中途採用の求人は極めて稀なため、求職者にとっては狭き門です。広報・PRを希望する自社社員が多く、自社内の人材配置で完結できるからといえます。
広報・PRで転職を実現したいのであれば、決して多くはないもののスタートアップやベンチャーが狙い目でしょう。ただ、スタートアップやベンチャーの広報・PRは、一般的な広報のイメージである「メディアからの取材を受ける、メディア対応」という受け身型ではなく、toBマーケや営業と役割が近しく、アウトバウンド型で商品やサービスをメディアに売り込むアクションが求められます。
またマーケと同様に、決められたことや与えられたことをやるのにとどまらず、広報・PRのミッションから、自社または自社商品やサービスをどう世の中に認知させていくかといったゼロから戦略を考えられる人材のニーズは高いといえます。ママリブラでもベンチャー企業でゼロから広報を立ち上げた経験が高く評価され、転職をかなえたケースがありました。
広報・PR領域でのキャリアアップを目指したい方は、まずはスタートアップ・ベンチャーで、上流工程の経験を積むこともおすすめです。
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経理 |
経理求人は減少。SBOで幅を広げるか、IPOなどの専門性を活かすか |
日次・月次で膨大な定例業務が発生する経理。ワーママでも経理職として活躍している方は多くいます。月末、期末などの繁忙期はかなり忙しくなる一方で、年間を通じておおよそ想定できる業務量なので、ワークライフバランスが取りやすく、ワーママを含む女性に人気があります。
ただ、ここ数年で従来の定例業務を派遣やパート、または業務委託に任せる企業が増え、さらに全社基幹システムやツールの導入も相まって、定例業務を担当する正社員求人はますます少なくなってきています。
2023年以降で経理経験者が求められるケースは主に2通りと言えます。1つはSBO(スタートアップ・バック・オフィス)という役割。これは、経理・人事・総務・法務など多岐に分かれている企業のバックオフィス機能全般を担うポジションです。
スタートアップやベンチャーなど規模の小さい企業だと、社員数が限られているため、バックオフィスの機能を1人または少数で担当するということも珍しくありません。こういった企業で、経理の経験者が、経理の役割を中心としながらも人事・総務など幅広く管掌するという求人は増加傾向です。
もう1つ、経理として専門知識や経験をより積んでいきたいということであれば、IPOを目指している企業でIPOに特化した人材として活躍する、または財務・税について専門的知識を深め、スペシャリストとして活躍するという選択です。
経理の経験を次のキャリアに活かすのであれば、担当領域を管理部門全体に広げるか、IPOや税・財務など専門性の必要な分野に注力するかの2択になると言えるでしょう。
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人事 |
SBOまたは採用担当で中途採用は活発 |
採用・教育、給与・社保、労務など多岐に分かれる人事。給与・社保、労務といった部門は女性が多く活躍し、中には「社労士」といった難易度の高い資格にチャレンジする方も珍しくありませんが、「社労士」の有資格者であっても正社員求人は決して多くなく、多くの社労士資格を持つワーママが、少ない求人に殺到するような状況になりがちです。
しかし最近は経理と同じように、人事を中心としたSBOとしてバックオフィス機能全般を担うポジションが求められています。人事だけにこだわらず、広く全社機能にチャレンジする意識が転職には重要になるでしょう。
さらにアフターコロナに向けて採用が活発になっていることを受け、大手やベンチャーなど会社規模を問わず、採用人材の求人が増えてきています。採用領域に興味のある方にとって2023年は久しぶりに訪れた絶好のチャンス!積極的に転職に挑戦してみていただけたらと思います。
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IT・通信(エンジニア) |
変わらずヘルプデスク・テクニカルサポートが堅調 |
ITエンジニアはもともと業務の性質上、女性より男性の割合が高い職種ですが、ヘルプデスクやテクニカルサポートといった保守系の業務はワーママを含めて女性も比較的活躍できるようになってきています。
BPOで業務の一部を専門会社に委託して業務効率を進める会社が増え、そのようなアウトソーシング会社やSIerを中心に、ヘルプデスクやテクニカルサポートの求人が安定的に増えています。同時に、SaaS業界を中心にカスタマーサクセスの役割が増え、その中にテクニカルサポート機能が入っていることも多く、テクニカルサポート系の職種のニーズは高水準な状態です。
ヘルプデスクやテクニカルサポート系の業務はITの専門的な知識も必要ですが、顧客対応力も重要になるため、販売・サービスや営業経験のある方が未経験からチャレンジできる案件も増えてきています。
一方で、ITエンジニアとしてかなり専門的な知識やスキルのある方は、ITコンサルタントに近いポジションで転職を実現しています。ミドルやフロントの各部門で組織全体としてIT化を推進していきたいというニーズが増えているため、ITコンサル・DXコンサル的な役割でIT推進担当として採用されるケースが増えています。
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事務 |
正社員求人は絶滅の危機。企画領域などへのチャレンジが必須 |
定型業務メインの事務は派遣社員や契約社員、業務委託などに変わっているため、正社員の事務職の求人はここ数年で激減の一途をたどっていて、その傾向はますます加速しています。事務の中でもとりわけ時短勤務という制約を歓迎する正社員求人はさらに稀で、ワーママにとっては厳しい状況となっています。
少し前までは採用アシスタントや営業アシスタントなど、特定分野におけるアシスタント求人が出ることもありましたが、そういったアシスタント職もほぼなくなってきています。また事務職の正社員求人であっても、実態としては業務改善などの企画寄りの仕事内容になっていることも珍しくありません。
正社員としてキャリアを積んでいきたいと考えているのであれば、定型業務の事務ではなく、与えられたミッションの中でどのような業務ができるか、自律的かつ意欲的な姿勢で業務に臨む、企画職に近い役割を目指すことをおすすめします。
2023年春のワーママ転職市場は追い風。領域を広げるなど柔軟性が成功のカギ
2023年は3年以上も続いたコロナ禍の収束を受け、企業の中途採用が活発化する1年になるでしょう。転職市場が全体的に活況になり、ワーママにとっても転職の追い風が吹く年となる見込みです。
このような環境下で、ワーママがより充実した転職を実現するために重要なのが「領域を広げる」こと。たとえば職種別で紹介したように、企画は営業、マーケや広報は顧客認知から利用までのカスタマージャーニー設計、経理や人事はSBOというバックオフィス全体を管掌する役割などが具体例として挙げられます。特定の職種や部門を越えて価値発揮すべきポジションが増えていて、自分の担当領域のみではなく周辺を広く理解し、関連部門を巻き込んだ仕事の進め方が求められるようになっています。
2023年に転職を考える方は、これまでの経験にこだわらず、高い視点・広い視野で各組織と連携することを転職活動の際にアピールできると良いでしょう。
また、コロナによって在宅勤務が浸透してワーママにとっては働きやすい状況になりましたが、ここにきてコロナ前の出社スタイルに戻す企業も増えてきています。柔軟な働き方が当たり前となっていた状況がもとに戻ってしまうと、時間の制約があるワーママは特に働きにくさを感じてしまうでしょう。実際に、在籍企業が通勤スタイルに戻ったため、在宅勤務できる会社への転職を考えるワーママも増えています。
ママリブラは引き続き、ワーママが活躍できる柔軟な働き方を推進する企業の求人をメインに紹介しています。活躍し続けたいけれど、働き方に悩みがあるという方は、ママリブラなどのワーママに特化した転職エージェントに相談していただけたらと思います。
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