ダイバーシティは採用市場で勝ち抜く戦略の1つ。優秀なママの力も借りて事業成長をドライブさせたい
働き方に制約がある女性の活躍・活用は、まだ発展途上の日本。しかしこのような中でも、人事戦略を経営戦略とひもづけ、多様な人材の活躍で事業成長している企業があります。今回は、特にワーキングママのチカラが成長をけん引している企業にフォーカス。「はたらきやすさも、やりがいもかなえたい」という意欲的なママたちがイキイキと活躍し、それが企業成長につながっている成功のポイントを探ります。
今回ご紹介するのは、上戸彩さんのテレビCMでもおなじみのSATORI株式会社。創業5年で社員数が8倍以上になるほどの急成長を遂げています。お話をお聞きしたのは、マーケティング営業部部長の高橋美絵さん。SATORI初の産休・育休取得者で、ワーキングママの部長として活躍されています。「ダイバーシティは採用市場での戦略の1つ」という高橋さん。ご自身もママとして活躍できる背景や、優秀なワーキングママのチカラにいち早く目をつけた理由などをお話いただきました。

- 企業名
- SATORI株式会社
- 肩書き・氏名
- マーケティング営業部部長 高橋美絵さん(37)(お子さまの年齢:2歳)
マーケティング支援会社、ECバックオフィス支援会社で営業職として勤務したのち、外資系メール配信システムベンダー、外資系CDNサービスベンダーにてマーケティング職として勤務。2016年SATORI株式会社に入社。現在はSATORI事業部門の部長を務める。同社の産休・育休取得第1号。
★常に新しいことに挑戦してやり切るSATORIの姿勢に共感したことが入社の決め手
―ご入社までの経緯を教えてください
マーケターとして短期間でひと通り実績を上げたのち、管理職として責任ある仕事をすることで、自らのキャリアステップを一つ進めたいと考えていましたが、なかなか機会が得られずにいました。SATORIとは一緒にセミナーをやる機会があり、そこで社長と会ったのが、知ったきっかけです。
SATORIはクラウド型マーケティングオートメーションツールの会社ですが、技術に独自性があり、事業成長の種のようなものを感じました。少ない社員で効率よく受注を取るために、同業には珍しくセミナーを多用するなど従来と異なる手法にもフットワークが軽くて。実は同じタイミングで似たようなビジネスフェーズの会社からオファーをいただいていたのですが、自分がこれまでのキャリアで身につけたIT事業の営業、マーケティングの知識やこれまで身に着けてきたIT知識をダイレクトに活かせる点に加え、常に新しいことに挑戦してやり切るSATORIの姿勢に共感したことが入社の決め手となりました。
―現在はどのようなお仕事をされていますか
マーケティング営業部の部長としてマーケティング・インサイドセールス・セールス・カスタマーサクセスを含むSATORIの事業部門をすべてみています。SATORI入社前に自分が担当として携わってきたIT事業の営業、マーケティング領域がターゲット。顧客がどんな点に困っているのか、どんな業務を行っているのかに対して理解があることで、自らの経験をダイレクトに事業成長に繋げられることが、個人的な醍醐味ですね。
―育休第1号ということですが
SATORI入社後、数カ月で妊娠が分かり、7カ月の産休・育休を経て復職しました。以前から管理職を経験してから出産したいと思っていたので結果として望んだタイミングでした。妊娠・出産で職場に穴を空けることに対して、申し訳なく思ったり、もう戻れないんじゃないかと不安に思う人もいると思うんです。でも、私は「キャリアはある程度自分の努力でコントロールできるもの、妊娠はコントロールできないもの」と割り切っていました。女性がキャリアか子育てかという二者択一で悩む必要のない環境が社会にもっと広がれば、と思います。
―復職後、どのような変化がありましたか
1時間の時短で働いていますが、最初は時間制約にストレスがありましたね。それまで(望めば)23時ごろまででも働けたのが17時までになったので。さらに会社の成長とともに部下の人数が一気に増えたので、どんどん権限移譲して任せて、一緒に携わったり細かい部分のチェックをしたりするのではなく対話を増やすことで支援するように、仕事の仕方も自然と変わりました。
★全社員が、裁量を持って時間と場所に縛られない柔軟な働き方を実現
―働きやすさややりがいにつながっている制度を教えてください
子育てや介護などの制約があるなしにかかわらず、「社員全員が裁量を持って、時間と場所に縛られない柔軟な働き方」ができることが1番大きいですね。たとえば、時短の場合も時間のマイナス分が自動的に給与に反映されるのではなく、成果で評価されますし、有給休暇の取得は無制限です。また夜に面接がある人事などはシフト的に勤務時間を変更できたり、個人や職種の事情に合わせた働き方ができます。リモートワークは当たり前で、相談事項などはビジネスコミュニケーションアプリのチャットで進めて、作業効率を重視するシステムになっています。この点は会社に滞在できる時間が短い私は非常に助かっていて。こどもが熱を出して自宅にいるときも、PCが触れなくてもスマホでやり取りできますし、帰宅後に社内で進んだことのフォローもスピード感を持って対応できます。
―こういった働きやすい制度が生まれる背景には何があるのでしょうか
SATORIはトップダウン式ではなく、現場が自律的に考えて形にすることを推奨しています。発展途上の会社ですので、会社が成長すると同時に、社員にも成長してもらいたい。社員のキャリアを支援するという考え方ですね。社員にどんどん挑戦してもらえる環境にするために現在のような制度になっています。私はワーママであることや会社での滞在時間には関係なく、部長というポジションにいますが、SATORIは組織全体として働き方に制約がある社員へも、成果を適切に評価する環境があります。こういった会社のスタンスは働きやすさだけでなくやりがいにつながっていると思います。
★ママ社員の活躍を広報することで、優秀な人材がきてくれるメリットは大きい
―社員を信頼して裁量を持たせる社風と先進的な制度を維持するためのコツがあるのでしょうか
採用での徹底した見極めと、普段の面談でのていねいなフィードバックですね。働きやすい制度がある反面、自律して成果にコミットできないとただの“ぶら下がり”社員になってしまい、会社・社員双方にとって不幸だと考えます。そうならないよう、選考期間は、候補者にとって本当に望むキャリアや職場がSATORIにあるのかどうか、SATORIが候補者にとって良いキャリアを提供できるかを互いに見極める期間だと考えています。中途採用は内定までの面接はオファー面談含めて5回ほどあり、異なる面談者が何度も違うタイミングで会っています。これはSATORIが何にこだわっているか知ってもらう機会としても有効なんです。また入社時は、3カ月、6カ月、12カ月、24カ月というスパンで、期待する姿を具体的に伝えています。入社後は、上司と3カ月に1回の面談を実施。個人が抱えている問題を上司やチームができるだけ早くキャッチアップできるように、また本人が望むキャリアを提供するための機会です。内定オファーでお約束したキャリアと現状にズレがないのか、常に上長と社員本人が確認し、スキルアップの計画や業務の割り振りの再編成を通じて、キャリア開発に取り組んでいます。
―社員としっかり向き合っているんですね。SATORIさんは多様性を全面的に打ち出している印象があります。そのあたりを具体的に教えてください
本来は、多様性を発信することは現状の多様性を否定することであり、あまり好ましいとは考えていません。そういう意味では、採用市場での戦略の1つです。働き方に制約のある社員が増えるリスクを恐れてダイバーシティを打ち出さない企業もあるかもしれませんが、SATORIの場合はママ社員の活躍を広報することで優秀な人材がきてくれるメリットの方が大きいと考えています。とても優秀なのに、育児中のママというだけで内定がどこからも出ないという方もいて、こういう方たちに活躍の場を提供しないのはもったいないと思いますね。
―これから挑戦したいことを教えてください
まずこの3年ぐらいは担当している事業部門でしっかり売り上げを伸ばすことにフォーカスしたいです。あと、できれば子どもも多い方が良いなとは思っています。タイミングを見て。私が入社した2016年は10人だった社員が、現在は80人以上になり、変化のスピードが非常に速いです。私個人としては、家庭の事情や働き方の希望もさまざまなメンバーだからこそ、その時々に必要なサポートを合理的に判断し、形にしていくことを大事にしたいです。
★SATORI株式会社のワーママ活躍のポイント★
1.有給休暇の取得は無制限、時短社員も成果で評価。柔軟性と成果主義の最適なバランス
2.内定まで5回ほどの面談。(場合により回数には変動あり)徹底的な双方向の見極めによって、お互いの信頼関係を構築
3.社員の成長が会社の成長。本人が望むキャリアの実現を支援
SATORI株式会社
事業概要:マーケティングオートメーションツール「SATORI」の開発・販売
所在地:東京都渋谷区桜丘町23-21渋谷区文化総合センター大和田11F
従業員:84人(2020年5月時点)
「優秀な人材を採用して、事業を成長させたい」
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